SUPERNOVA24’s blog

〇✖△…白か黒か…凸凹…0か100か…

風の通り道

   行き慣れたいつものスーパー。

 買い物をしていると、どこからか声が聞こえました。

 『それ。おいしいの?』

    振り返ると、涼しげな着物を着た女性が立っていました。

 

   いつもと何も変わらないスーパーですが、その方にお会いした空間は

   すべての音が消えたような気がしました。

 

 『  おいしいですよ。』と返すと、その方は

『あなたがおいしいって言うなら食べてみようかな?』

  とても穏やかな顔で嬉しそうに通り過ぎて行きました。

   

  いつの間にか、聞き慣れた音があふれる空間に戻り

  帰宅を急ぐ人、新鮮な野菜や果物を求め、列に並ぶ人に紛れながら帰る道

 

 いつもの景色

 いつもの風景

 何も変わらないのに

 

 涙があふれてくる…

 

あふれる理由を探しても見つからない

 

その時、聞き慣れた小さな鈴の音が聞こえた。

『  ただいま。』

振り返ると、重たい荷物を抱えた娘が学校から帰ってきた。

 

涙の理由をどう伝えようかと考える隙もなく

『あのね?』と話し始める娘を見ながら、ふと、自分の子供時代がよみがえった。

 

自分は誰かに『あのね?』と話せる人がいただろうか?

『ただいま』と言える場所があっただろうか?

 

どんなに探しても、小さな欠片でさえ記憶にない…

 

その瞬間、二人の間をふわっと風が吹き抜けた…

『帰ろっか?』

小さな手が私の手をきゅっと握る。

まだまだ小さい存在と思っていたその手に

今は大きな手が守られている気がした。

 

『今日のご飯は?』

『オムライス』

何でオムライスなの?』

 

 だって。

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  『あたながおいしいって言うから☆』

 

                          おばあちゃんありがとう…