SUPERNOVA24’s blog

〇✖△…白か黒か…凸凹…0か100か…

告げる祠

その神社は、いつからそこに存在していたのか・・・

 

降り続いた雨が止んだ午後

不思議な出来事を思い出した…

 

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境内を竹で覆われたその神社は

数年前まで、本殿に繋がる階段に

埋もれた灯篭や石碑があり

手水舎の屋根は傾き剥がれ

世話をする人や参拝する人の姿もなく

その場所に存在していたそうです。

 

その後、その姿に心を動かされた人々の手によって

神社の改修作業が始まりました。

 

覆い茂った竹を切り、樹木の枝を払うと

境内に光が差し込むようになり

その光に花を咲かせたいと感じた人々は

早朝、神社に通い、花壇を作り始めたそうです。

 

時を経て、一昨年の夏

私はこの神社の存在を

娘が訪れた事がきかっけで知りました。

 

境内の奉仕活動にと

巫女のような感覚で訪れていた娘は

その神社の話をいつも嬉しそうに話してくれました。

 

数か月後、何故かその神社が脳裏に浮かび

ふと、訪れたい衝動が走りました。

 

見慣れた風景を眺めながら

本殿に続く道を歩いていたその時

急に強い風が吹き

木々が大きく揺れ始めました。

 

突風に驚きながらも進む中で

他の木々が揺れていない事に

不思議な感覚になり

同時に怖さも感じました。

 

ようやくたどり着いたその瞬間

吹き荒れていた風や

揺れていた木々も止まり

まるで異世界に辿り着いたような

静寂だけが漂っていました。

 

ゆっくりと境内に足を入れると

古ぼけた大きな石碑があり

その横には、小さな賽銭棚と共に

の姿がありました。

 

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ふと、棚の下を見ると

小さな皿が落ちていました。

 

先程の強風で飛ばされたのだろうと思い

すぐに拾い上げ、戻そうと賽銭棚に目をやると

目を疑う光景がありました。

 

枯れ果てた花々や

一滴の水も残っていない花瓶

壊れた賽銭箱

汚れた皿

傾く支柱

 

ここが本当に娘が話していた神社なのかと

想像を絶する程、荒れ果てていました。

 

とは言え私自身も

衝動的な感情で訪れた為

何も供える事も出来ず

その日は賽銭棚を手で掃き

花瓶やお皿を水で洗い

参拝させていただいたお礼と

娘がお世話になっていることを兼ねて

本殿に向かい、手を合わせた瞬間

賽銭棚からカーンと響き渡る音がし

次の瞬間、本殿の天井裏を何かが走り去る音がしました。

 

振り向くと、小さな賽銭棚の紙垂(しで)が

風もないのにゆらゆらと大きく揺れ

数匹の黒い蝶が飛んでいました。

 

あれから一年

 

不思議なお告げがあると 

参拝用の供え物を手に

毎月訪れるようになりましたが

参拝の度に、賽銭棚は壊され

供えたはずの米や塩も、見当たりません。

 

でも。

それでいいのです。

 

ここを訪れた人々や

ここで生きる生き物たちの

生きる材料になるのであれば

人を許す生き辛さを抱え続ける私が

名も知らぬ誰かを救えているのだから・・・

 

ほら。

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    光の届かない狐の祠に新芽が・・・