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『明日もまた暑いのかな・・・?』
運転中の夫に娘が問いかける
『台風の影響もあるからきっと暑いだろうね?』
楽しみしていた夏休みも短縮され
夏祭りや花火大会も中止が決定
娘の表情も曇り空だ
『見えるかな・・・?』
ふと、夫が口を開いた
『流れ星』
その声に娘が反応する
三大流星群の一つとして知られている『ペルセウス座流星群』が
この日の夜、条件があえば、最も多く出現すると予測されていた
*月の光が明るいと条件があまりよくないが
晴れていれば最大で1時間に30個程度観測できる
通常なら、月は大気がない為、ちいさな欠片でも流れ星とならず
月面に衝突し、その衝撃で、光を放つことがあるそうなのですが
地球から観測されることは少なく、撮影することも珍しいとの事
『絶対見えない予感しかない・・・』
曇り空の顔が嵐を予報し始めた
夕飯の後片付けをしていると
娘がアラームを設定している
その姿をそっと見守る夫
そう。
それは・・・
『娘が何よりも科学が大好きだと知っているから』
仕掛けていたアラームが鳴り
半信半疑で車に乗り込む娘
誰もいない暗い夜道を眺め
少しだけ恐怖も感じていた
『ここだよ』
夫に促され車から降りた場所は
灯り一つない真っ暗な世界だった
『おいで』
怖さで帰りたくなる衝動を抑えながら
車から降りた娘が見た景色は・・・?
『時空を超えた絶景』
今は
『お前が望む自由な世界じゃないかも知れない』
でも
『お前が一番欲しい星を見せることはできる』
どの星が一番きれいで
どの星を選んだら喜ぶのか
こんなにたくさんあったら
贈るプレゼントにも迷うよ
照れくさそうに語る夫の手を
小さな娘の手がきゅっと掴む
いつかきっと娘も誰かを好きになり恋に落ちる時がくる
嬉しいはずなのに涙が溢れるのは何故だろう・・・
それはきっと
守らなきゃいけない大きな手が
今は小さな手に守られているから・・・
空からのお届け物です・・・☆